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Mi chiamo June

un corpo pesante 〜 重い身体と、髭とシュガーと。

時々、朝起きると身体のどこかに、鉛でもついてるんじゃないかと思うくらい、重いときがある。
今朝がその日で、おまけに眠い。
バスの座席に座る私。
一緒に据わる私の目。

カフェインだ。

お財布の中に小銭があったら、出勤途中にエスプレッソを飲もう。
見ると750円あった。
500円を取り出しポケットに入れる。
歩きながら、250円でもいけるかな。
と考える。

開店まもないコーヒーショップに人は無く、朝にピッタリな爽やかなメンズ店員にエスプレッソを頼む。
ふとメンズから目を横にやると、料金表があった。

エスプレッソ…400円

高い。
高すぎる。

見た瞬間、目が覚めた。
もぅ、カフェは必要なかったような気もしたが、メンズが事の外ハンサムだったので、用意していた500円硬貨をポケットから取り出した。

待つこと数分。
オシャレ髭をたくわえた、別のメンズ店員がエスプレッソと砂糖壺を盆に乗せやってきた。

「こちらは、ブラジルの豆で、なんちゃらかんちゃら。」
と丁寧に説明してくれる。
なんちゃらかんちゃらと書いてる時点で、私は彼の説明をキチンと聞いていなかった。
ただただ眠く、早くエスプレッソが飲みたかった。

オシャレ髭がカップを私の前に置いてくれた。
さすが一杯400円。
置き方もオシャレだ。

砂糖もどうぞと、壺に手をかける、オシャレ髭。

ガシャーン。
ガシャーン。
ガシャーン。

オシャレな店内は砂糖まみれになった。
慌てふためくオシャレ髭。
砂糖壺を拾い上げた彼の口からは想像すらしていなかった言葉が発せられた。

「お客様、砂糖使いますか?」

できる事なら拾い上げた壺とこの場を去り、もぅ砂糖には関わりたくなかったのかも知れない。

私は天使のように微笑み
「はい。」と返事をした。

大変失礼しましたと、新しい砂糖壺をもってやってきた、オシャレ髭。

砂糖壺は素手に握られていた。

辛党所属の私だが、彼の気持ちを汲み、
壺の中から砂糖をいつもより少し多めにとり、エスプレッソを飲んだ。

オシャレな髭も、オシャレな店も、聞こえるか聞こえないかの音量で流されているオシャレなBGMも急に身近に思えた瞬間、爽やかなレジのメンズに別れを告げ店を後にした。

コーヒーカップをのせるには、些か大き過ぎる盆が悪かったのか、ついつい見とれてしまうほどの美人の私がいけなかったのか。
砂糖壺、転倒事件の真相を探りながら、次に会ったら彼の名前を聞いてみようと思っている。

願わくば、「佐藤です。」と名乗って欲しい。








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by june05martin | 2015-07-07 13:54 | いつもの時間